リディアはエスティディアルさんの名前を呼べと僕に告げる。
それは一体何のためなのか――そう聞き返すと、エスティディアルさんは『だめえッ!!』と叫んで激しい拒絶を示す。
この取り乱しようは今まで彼女を見た中でも、一番といっていい。
「ちょ……っと、どうしたんですかエスティディアルさ――」「お馬鹿!!」あ……。
エスティディアルさんは僕にバカと言うや否や顔を覆って、その場に崩れ落ちてしまう。
それでもヴィルフリートは動かない。
クライヴさんはどうしたのかとこちらを見ているけれど、クロセルはたいした興味を示さずに『仕上げですか』と涼やかに投げかけた。
もしや……これは、リディアが僕に『女の子になれば云々』と言っていたアレではないだろうか。
女性の心を――意のままに操る、というゼパルの力……? それをエスティディアルさんは受けた?
内心不安だったが、エスティディアルさんが顔を上げた時……構えを解いたリディアはにこりと笑った。
「エスティディアル、ルシエルを愛してあげるの手伝って♪」憎しみを言葉にのせながらも、僕を見るエスティディアルさんの目は……なんだか、熱っぽく潤んでいる。
恐ろしそうな恨み言をぶつけられても、リディアは全く気にしていないかのように笑っているだけだ。
そんなエスティディアルさんは、僕の所へフラフラしながらやってきたかと思えば……まじまじと顔を見つめ、ほぅと小さな息を吐いた。
「ルシエル……よく見ると貴方はなかなか可愛らしいお顔なのね」急に何を言い出すのかと困惑していると、エスティディアルさんも『わかっているのよ』と辛そうに頭を振った。
「わたし自身が一番憤りと困惑を感じているのよ。切なそうな顔で、自身の豊満な体を抱きしめるエスティディアルさん。
エスティディアルさんの芝居ではなくリディアの魔術のせいだとするなら、恐ろしいくらい良く効いてしまっている……。
上機嫌そうに服を脱いでいくエスティディアルさんだが、この術が解けたら僕は永遠に恨まれるのではないだろうか。
彼女の裸身は余分な贅肉が無い。胸は豊かで形も良いが、その割に乳輪は小さくてまだ清純な乙女のようなピンク色をしている。
「あなたの主人とどっちが魅力的な体つきかしら?」目の前で胸を寄せるような大胆なポーズをとるエスティディアルさん。
「ルカさんです……」憤慨したような顔をしたのも一瞬。
エスティディアルさんは僕の顔の横へ来ると、自らの秘所を二本の指で押し開く。
まだ湿り気を持っていない怪しい花弁を見ただけで、淫行慣れしてしまった身体がざわめいた。
「あっ……」見ている此方が赤面するほどの大胆さ。その間にリディアは僕のモノを握ると、自らの割れ目にあてがっている。
「待ちなさい、リディア……!」恥毛が一本も生えていない、子供のような秘部がゆっくりと僕の赤黒い肉を飲み込んでいく。
「んんっ……!」愛液で十分に潤っているリディアの女性器は、何の苦も無く僕を受け入れていった。
「ああっ……! ルシエル、の聖性……! 痛いような、痺れ、ちゃうようなっ……!」どうやら既に彼女は男を知っているようだ。何の遠慮も無く腰をグラインドさせ、奥へと侵入させていく。
肉の襞がきゅうきゅうと吸い付くように蠢き、腰がとろけそうだ。
「ううんッ……!」卑猥な肉の宴は、まだ始まったばかり。これから幾度僕は精を放出するのだろう――考えると悲しくなる。
「ルシエル、楽しんでいるところ申し訳ないけれど、わたしのここにもご奉仕してくださらない?」なんと、エスティディアルさんが僕の顔の上に秘所を押し付けてくるようにして座った。
「ん、ん……! エスティディアルさん、はしたないですよ!」とろんとした顔をして、もっと頂戴とねだるエスティディアルさんと……。
「はぁぁ、ん、ふぅ……っ、ルシエルのおちんちん、気持ち良すぎるぅっ♪喘ぎ声と一緒に恐ろしい事を口にしながら、リディアは腰を振り続けて快楽を愉しんでいる。
実際、ルカさんに出会う前に悪魔達に捕らわれていた僕に、そういう話が出なかったわけではない。
あの時は僕に拘束具をするだけでも数多の悪魔が犠牲になった。
それくらい聖性が強すぎたので、ますますの危険を冒してまで興じようとする者がいなかっただけだ。
「ルシエル、もっと……きちんと……して、くださいな……!」恥辱で顔を赤らめ、それでいてもどかしそうにエスティディアルさんが僕に懇願し、埃と汗でべたついた僕の髪を手ぐしで梳く。
「天使はお嫌いではありませんでしたか?」ついと横を向いて恥じらう仕草もなんだか新鮮味があって可愛らしい。
「エスティディアルは、百年以上エッチしてないんだよね? そういう悪魔は、エッチな刺激に弱いんだよ!なるほどと納得した僕だったが、確かエスティディアルさんはヴィルフリートが好きだったのではなかったか。
そうなると、これはいわゆる【不貞】という行為に当たるのだろうか……。
前はルカさんが僕とヴィルフリートに身体を享受している事に腹を立てていたこともあった。
僕もまさかこんな風になってしまうとは想像もしていなかった……。
ぼーっとするなと怒りながらエスティディアルさんが股間を押し付けてくる。
とはいえ美女二人を相手にして、視覚的にも肉体的にも淫らな状態。
男にとっては(魔界の中だとしても)天国と評して良いものだろう。
僕の為でもあるのだし、彼女がそうしてほしいというのであれば従わないと……解放してもらえない気もする。
「あはぁ……ッ!?」エスティディアルさんの小ぶりな花弁を舌でなぞると、彼女の身体は敏感に反応し、顎が仰け反る。
自分でも予期せぬ声が出てしまったらしい彼女は、声を出すまいと口元を手で押さえた。
そんなところを見せられても、やめようとは思えない。
なぜなら僕の身体や精神は既に、リディアとの性行為によって昂ぶりを覚えていたから。
エスティディアルさんの陰唇をめくりあげ、まだ充血しきっていない陰核に舌を這わせる。
「じっくり舐めたら……い、やよ、きたな……いっ……!」嫌だと言いながらも、そこから退こうとしないエスティディアルさん。
短いながらも鼻にかかる嬌声を上げて、僕の舌を受け入れている。
「あッ、あ、ア、んくぅっ……! もっと気持ちよくなりたいの、もっとぉ……いっぱい、せーえき欲しいよぉ……!」リディアは荒い息をつきながらも快感を貪ることを止めず、更なる快楽を求め自らの乳房を揉みしだいて卑猥な言葉を紡ぐ。
赤く熟れた果実を思わせる、自分の柔らかい唇を唾液を含んだ舌で舐めあげ、少女のような(見た目も少女だけれど)可愛らしい声を上げているリディア。
押し寄せる快楽に僕も腰を突き上げつつ、時折エスティディアルさんの蕾に歯を立て、吸い付いて滲む蜜を味わう。
先ほどより膨らんできた肉芽は興奮と性の刺激により硬くなっており、淫らに赤く、僕を誘う。
「ああぁん……、くっ、はぁ……んんっ……! はぁ……んふぅっ……!」エスティディアルさんにも女性として、そして――長たる意地があるのだろう。
健気に声を漏らさぬよう唇をきつく噛み、手で押さえて堪えている。
「エスティディアルさん。男性にそういうところを見せると、快楽に浸らせようと余計燃えてしまうのでやめた方が宜しいのでは」反論も弱く、舌先を十分に潤った膣内に滑り込ませるだけで、彼女はあられもない声で啼く。
彼女は大きく上半身を揺らし、豊かな胸がプルンと跳ねた。
もっと淫蕩に濡れ乱れていく彼女を見てみたい……そんな欲求が出始めた頃。
僕から巧みに精を搾り取ろうとしているリディアのテクニックの前に、下半身のほうがまたしても限界を迎えそうだ。
「はぁ……っ、リディア、そんなに腰を激しく振ったら……っ」厭らしい音を立てて柔肉をぶつけ続けるリディアに声をかけたが、僕も結構余裕が無く、上ずった声が出てしまう。
「あん……あんんぅ! だってぇ、気持ち良いから……! はぁ……じゅぶじゅぶしてほしいっ、のぉん……!」エスティディアルさんが僕の上に跨っているためリディアの顔や様子を視界に納める事は出来ないが、どうやら夢中で興じているようだ。
抽送を繰り返すたび、僕の滾りをリディアの肉襞がぎゅっと包み込み、蜜を滴らせ更に奥へと誘う。
エスティディアルさんか、リディアか僕か……誰のともわからない荒い息遣いが耳朶を打つ。
「あっ、も、イク……! イッちゃうぅ! ルシエルっ……! リディアの、おくっ、いっぱいぶちまけてぇ……!」奥歯を噛みしめて射精を我慢していた僕のアヌスに、リディアの指が滑り込んで――初めて味わうその強烈な刺激に、堪え切れなかった。
「あっ、でてる……! リディアのおなかのなかぁっ、びゅるびゅる熱いせーえきが、でてるよぉ……!」リディアの膣がきゅうきゅうと震え、残った精液を搾り取る。
途端、僕の身体の奥から魔力のような何かが……吸い上げられた。
「な……?」僕の疑問に答えてくれたのはエスティディアルさん。
とろんとした眼は精の欲望に溢れ、彼女は快楽を吸って脱力しているリディアの脇腹を手の甲でピシと軽く打つ。
退け、という事なのが分かったらしい。リディアは緩慢に僕の上から腰を上げる。
ぼたぼたと白く濃厚な精液が膣口から零れ落ちると、大事なものを落としてしまったように悲しげな顔をして両手で股間を押さえた。
「もったい……ない」さっきまでのやや幼さがあった口調は、行為を始める前までの抑揚のないものに戻っている。
テンションや彼女のやる気……? あるいは、別の人格でもあるのだろうか。
不思議そうにその様子を眺めていると、その視界を遮るようにしてエスティディアルさんが顔を近づけてきた。
「堕天使風情がこのわたしのナカを味わうことが出来るなんて……ありがたいと思いなさい」嘲笑と共に、リディアとの行為の後、体液で濡れている性器に顔を寄せ、熱い息を吹きかける。
「臭いわ……。こんなものをわたしが舌で舐めなければならないなんて……屈辱……んっ……」舐めろとは一言も発していないのだけど、エスティディアルさん自ら柔らかく温かい唇で亀頭に口づけした。
「はぁ……んむ……。わたし、無理やり、口に突っ込まれて、っ……んん……」ひどい、と言い、袋から竿から丁寧に舐めているのはエスティディアルさん自身なのだけれど、彼女は変なシチュエーションで愉しみはじめている。
確かに口淫は気持ちいいものだが、なんとなく複雑な心境だ。
「も、もういいですエスティディアルさん……」言いながら息を荒げ、ぶるると身体を震わせている。
……非常に困った人だ。しかし、僕が何を言っても良いように変換されていくため、ここは口を挟まずにいたほうがいいかもしれない。
申し訳ないような気持ちでヴィルフリートの背中に視線をやるが、彼はそれどころではないようで何の反応も示さない。
「……エスティディアルさん……するなら手早く。時間がありませんから」すると、緊張した面持ちで、エスティディアルさんは僕の上に跨り……愛液でとろとろになった膣口を肉槍に押し付けた。