【魔界で従者を手に入れました/29話】

居間(事実上くつろぎスペース)にクライヴさんを一人残し、私たちがやってきたのは……やっぱり浴室。

だって、昨日からお風呂入ってないから汗臭いし、拭き取ったけどスライムの粘液とかもついてるし。

ようやくお風呂……入れる!! こんなにお風呂が愛しいなんて、久しく感じてなかったっ!

脱衣所でカソックを脱ごうと、服に手をかけたときの事だった。


「そのままでいい」

何故か、ヴィルフリートが私の手を止めさせる。ルシさんも自分の服を脱ぎながら、ルカさんはそのままでいいですよと同意していた。

「……だって、お風呂……」

お風呂一緒に入って、何事も無く帰してもらえるとは思ってなかったけど、服くらいは脱ぐでしょ……?


「その前に楽しみ――ってのがあるだろ」

ニッと笑ったヴィルフリートだが、やはりルシさんと同じく服を脱いでいる。

え。ちょっと待ってよ。

つまりコスプレエッチ……ってこと……?

「やだっ、そんなの……! カソック汚す気? ルシさんもヴィルフリートも罰当たりっ!」

ちゃんとお風呂入りたい、と主張してみるのだが、悪魔はおろか、天使(もう堕ちてるけど)にも聞き入れてもらえなかった。

二人は全裸なのに、私だけ着衣……。

ヴィルフリートは虚空から木製の椅子を一脚出すとそれに腰掛け、私を見据えた。ホント便利な魔法だなぁ……、これ。


「さて、ルカ。まずは、足を軽く開いてスカートをたくし上げろ」

腕組みして私に命令してくるが、まずあんたは前を隠せ。

「……前、隠さないの?」
「隠す必要はない」

そうですか……。

だが、ヴィルフリートは『ルシエルのは貧相だから隠した方がいいな』と、また意地悪を言う。

「別に貧相じゃないです……!」

ムキになるルシさんだったが……あんたも前を隠せ。

「ふん、俺の方がデ――」「こらっ! 張り合わない!!」

大きいとか長いとか、そのへんは女の子が胸を気にするのと同じく、男性も気にするところなんだろうけどさ。

一応……なんか、そこから私に振られても困るからさ。予防策の一つだね。

「はいはい。いいから早く上げろ」

くっ……。エッチするときには従順になるというヴィルフリートとのお約束のため、私は渋々……半ばヤケになってカソックのスカートをバッとたくし上げた。

「もう少し、色気のあるやり方はできないのかよ……」
「や、やれって言ったから、やっただけでしょ!」

こっちは男の人にこんな姿見せなくちゃいけないから、すっごく恥ずかしいんだからね!?

太股丈の白いストッキングはガーターベルトできちんと留められて、その上からサーモンピンクの下着をつけているのまで丸見えになっている。

「……あぁ、ルカさん……よく似合っています……!」

恍惚の笑みと、感極まったように息を吐いたルシさん。

私に近づいて触れようとするのを、ヴィルフリートは『まだだ』と強く言って止めた。

ああ、ルシさんの熱視線が下着に注がれているよ……じっとそんなところばっかり見られていると恥ずかしい……。

「まだお預けだ……ルカ、幾つか俺の質問に答えろ」

なんか、どうせ変なこと聞くつもりなんだ……。

顔が紅潮していくのを感じながら、私はこくりと頷いた。

「さっき、欲情していたようだが、何を考えてたんだ?」

ほら来たぁ……! 答えにくいものをなんでこうしてあっさり聞いてくるかなぁ!

「え……いつ欲情……されていたのですか?」

ルシさんは気づかなかったと残念そうにぼやいたから、ヴィルフリートの言うとおり悪魔の特性だったんだろう。

本当なのかと視線を投げかけるルシさんに、私は本当だよと肯定した。

「さっき……してたの。ちょっとだけ」
「だから、どんな内容なんだ、って聞いてるだろ。言えよ」

どうしても言わなくてはいけないようだ。相変わらず拒否権とか黙秘権とかないのよね……。

言葉にするのがどれだけ恥ずかしいか、わかって言ってる……んだろうね、この感じだと。

変態、と口の中で文句を言うと、目を閉じて観念する。どうせ、アイツに言ってもニヤニヤ笑ってるだけだし。

「……ヴィルフリートに、エッチな事をされているのを……想像してた……の」

正直に言うと、余裕の表情を崩して意外そうに目を丸くするヴィルフリートとは対照的に、ルシさんは『なんでそっちなんですか』という、闇オーラ(病みオーラ、といえばいいのだろうか)の片鱗を見せた。

「……へぇ。ルカの想像した俺は、どんな風にしてたんだ? 教えてくれよ」

俄然興味を持ってしまったヴィルフリートは、上半身をやや私の方へ傾けるようにしながら、さらなる問いを重ねる。

ああ……そんな事聞かないでよ……。また、想像したらっ……!

「ルーカー? 欲情するのはありがたいが、俺達にもそうさせてくれよ。一人で楽しむのはナシだぜ?」

ヴィルフリートのバカ。エッチ。私の反応をじっくり楽しんでいるくせに……!

「わ、私が……ヴィルフリートの上に跨って……、下から胸を好きにいじられながら、ナカを強く突き上げられてっ……。
もっと気持ちよくしてやるって……あぁ……、抱き寄せられて、奥に、当ててくるのぉ……!」

ああん……、口に出すだけで、なんだか身体が熱くなって興奮する……。

つい太ももを閉じようとすると、ダメだと制止が入った。人の動きをよく見てるなぁ、ヴィルフリート……。

でも私のアソコは脈打つみたいにピクッてしちゃったから、私、また濡れちゃうよ……。

「それで? 現実に、お前は俺にどうして欲しいんだ? して欲しいとおりに言ってみろ。きちんと言えたら――その要望どおりにしてやるよ」

私は熱と情欲に濡れた眼を、ヴィルフリートへ向けた。

――言ったら……ほんとに、そうしてくれるの?

それが通じたようで、彼は約束するというように深い頷きを返してきた。

「キスしてから……激しく、してほしいの……」
「何を、激しくして欲しいんだ? キスか?」

はっきり言えよ、とヴィルフリートの眼が告げてくる。

あ、あぁもう……! なんて、ひどいこと言ったりするのよっ……!

熱に浮かされたような顔をしたルシさんが、じっと私を見てる……。

「……ルシさん、やらしい……顔、してるよ」
「あっ……。すみません……でも、ルカさんのように物欲しそうにはしていないはず、なのですが……」

口元を手で隠し、ルシさんは高ぶりを落ち着けようとしているようだ。

私も、ルシさんが指摘する通り……激しくして欲しいとか言っちゃってるし、欲情してるのは、自覚していた。

さっきイケなかったから? 身体の奥でくすぶる熱が、そんな私をつき動かす。

「お願い……キスしてから、激しいセックスをしてほしいの……好きにしていいから……!」

ようやく言ったら、気を落ちつけたはずのルシさんはまたもとろんとした目つきで、いけませんと頭を振った。

「あぁ……ルカさん……なんて厭らしい願望を口になさるのですか……!
そんな、カソックをたくし上げて激しくセックスしろだなんて……卑猥すぎる……!」

卑猥だと言ってくるルシさんだったが、既に彼のモノは立派にそそり立っていて、私の視線を感じると、それがぴくんと動いた。

「ルシさんだって、興奮してるじゃない……偉い天使様だったのに、そんなことしていいの?」

道徳的で、真面目で、賢そうな顔のルシさんは、そこにない。何を仰います、と、ルシさんは淫欲を滾らせたような瞳を向けてきた。

「全部……ルカさんのせい。見てください、こんなになってしまいましたよ……。淫猥な主人に尽くすのも、大変なんですよ……」

と、再び私に近づこうと試みたルシさん。ヴィルフリートはまたも『座ってろ』と言い、ルシさんは言われるままヴィルフリートの傍らに座ってしまった……なんだ、素直だな。

そしてヴィルフリートは私を呼んだ。

「そのまま、俺の前に……そう、たくし上げたままだ。
ルカ、下着にまでお前の愛液が染みてるぜ……座ったままのルシエルにもよく見えるだろ」
「……ええ。折角下着を付けたのに、もう厭らしい液を滴らせて……はしたない女性です」
「そうだ。この、はしたない女が俺たちの主人だ。だが、褒めるべき点は……従者以外には、こんな姿を自分から晒したがらないところか」
「そんなのっ……、当たり前でしょ……! ルシさんとヴィルフリートは私の中でも、特別なんだし……!
一緒にいないと、生きていけないんだもの……」

そう言うと二人は顔を見合わせ、仕方ないなというように肩をすくめる。

「――それに、愛情が含まれれば言う事はないんだがな」
……その言葉は、先ほどクライヴさんの言い放った言葉を連想させる。

『自分を好いていない女と寝ても楽しくない』

それは、女の人だって同じで。

好きな人に抱かれるのは嬉しいはずだけど、心がそこになかったら……辛い、よね……。

「……ごめんなさい。私、二人の気持ちを知ってるのに……」

スカートを持つ手が下がるが、ヴィルフリートが『ちゃんと持ってろ』と言うので、下がる手はまた元の位置まで戻った。

「俺達が勝手に好きなだけだ。それに、まるっきり興味が無い訳じゃないんだろ?」
「ん……。興味は、多大に……」

あります。ありまくるんだけど、踏み込んではならないところといいますか。

本当に二人は魅力的なんだよ! うっかり好きなんて言っちゃったら、ホントにそうなりそうだから危ないんだよ!

「良かった。好意があるなら……時間は僕らにとって永くあります。いつでもお待ちしてますよ」

こんな時まで微笑みが神々しいルシさん。でも私の時間は有限なので、若いうちになんとか……できるといいな……。

「そんな話はいいんだよ……で。ある程度好きな男の前で、下着まで濡らして立ってる気分はどうだ」
「バカッ! そんなひどい言い方しないでよ……!」

そうは言っても、私はやっぱりマゾなのかな……あんな言われ方して、またゾクゾクと背筋に快感が走ってしまう。

「また興奮してるのか……ほら、ルシエルに謝ってやれよ。折角お前の為に選んだ下着がドロドロになってるぜ?」
「あぁっ、ごめんなさいルシさん! 私、エッチな事を考えて……こんなに汚しちゃった……っ」

下着はクロッチの部分を濡らして、染みた部分の色が透けている。

ルシさんは、顔を近づけて『全くですよ』と呆れたような声を出した。

「しかも、あげた本人ではなく別の男の事を考えて濡らしているんですよ……。そんな人には、下着なんて要りませんね」

すると、ルシさんは下着に手を伸ばして、脱がすためにするすると引き下げていく。

「あっ……! だめ、見ちゃやだ……!」
「うわぁ……ドロドロですよ。こんなになるまで興奮していたなんて……!」

ルシさんの指が私の陰裂を開き、顔を近づけ舌を這わせる。

「は、あぁ……っ!」

ルシさんの舌を感じ、私は快感に指を噛んで上半身を逸らす。

「こら、スカートを離すな」
「そんなこと言われてもぉっ……! ふあぁっ……! ルシさ……、そこ、気持ちいいのっ……!」
「んっ……ふふ、そうでしょう……。ルカさんの事なら、僕はなんでも……知ってるんですよ……」

ぷくりとした肉珠に舌を這わせ、ちゅぅと音を立てて吸い上げるルシさん。

彼の細くて長い指が私のナカへゆっくり侵入し、内壁を指の腹でゆっくりと擦る。

「んはあぁっ……!」
「――ここも気持ちがいいのでしょう? はは、快感に震える貴女はとても素敵だ……!」

快感が止まらなくて、ぴくぴくと身体を震わせながら、私はヴィルフリートを見つめた。

彼はルシさんを邪魔そうにも羨ましそうにも見ていたが、私と視線が絡み合う。

「ヴィルフリート……キス、してぇ……?」

唇から漏れる吐息は荒くて、なんかもう……我慢出来ない。

ヴィルフリートは私の横合いに回りこむと、肩と顎を引き寄せて激しく唇を貪った。

「んっ……ふぁ……!」
「ルカ……」

吐息の合間から、私を呼ぶ声が聞こえる。なんて、艶っぽい誘惑なのだろう。

下ではルシさんが私を愛撫し、上ではヴィルフリートが私の胸をまさぐりながら、儀礼服のボタンを外している。

「そんな、急がないでもっ……」
「十分待った。ほら、触ってみろ……今すぐ入りたいくらいだ」

私の手を掴んで、自分の脚の間へ誘う。

隆々と勃っているヴィルフリートの剛直は、身体と同じく逞しい大きさで……。それを手で握り、上下にそっと撫でた。

私の舌はヴィルフリートに時々甘噛みしつつ絡め取られ、大きな手はいつの間にかブラのホックを外していて、直に乳房を揉みしだいていた。

乳房をこねくり回し、指先で乳首をきゅっと摘み、なぞるように遊ぶ。

「んっ! あー……っ、いっぱい、愛撫しちゃだめぇっ……! くふぁぁっ……!」

二人とも加減なく触れて嬲ってくれるので、びくびくと軽く達してしまう。

厭らしい音を立てて、ルシさんが私の秘裂から溢れる蜜をすする。

「はふ……っ、ルカさんの淫蜜……舐め取っても、どんどん溢れてきますよ……? でも、とても美味しいです」
「や、だ……! 美味しくなんかないでしょぉっ……! あ、はぁ……、んっ……! だ、めぇ……! もう、なんか、出ちゃ……!」

指を一本から二本に増やして抽送を続けていたルシさんの指は、達していいんですよと、言った直後、速まった。

「あっ、あっ……ルシっ……! ルシさあぁん……! イッちゃ……く、ふぁ……ああぁーーっ……!」

びくびくと強い刺激と甘い電流が身体を駆け抜け、達してしまった拍子に……私はルシさんのくぐもった声を聞いた。

「んっ……!」

ルシさんの綺麗な顔に、なにか引っ掛けてしまった……まさか、おしっこ引っかけちゃったんじゃ?!

「ごめんなさい……! おしっこかけちゃうつもりは……!」
「……いえ、これはそういったものではないですよ……」

ちょっと白っぽい……液体を指で拭い、ぺろりと口に運んだルシさんは、ヴィルフリートみたいに意地悪く笑った。

「ルカさんが、とても気持ちよく絶頂を迎えた証です」

味と匂いが濃いんですね、とか感想まで述べるので、私は恥ずかしくなって手で顔を覆ってしまった。

「今更恥ずかしがるなよ」
「だって……」

ルシさん、なんか妙に嬉しそうな顔をして指で拭っては舐めている。

そんなルシさんを、ヴィルフリートは足先で軽く蹴った。

「……ルシエル。そろそろ邪魔なんだが、退く気はないのか」
「邪魔とは失礼な……。まぁ、順番なのでしょうがないですけど……」

渋々立ち上がったルシさんと入れ替わって、ヴィルフリートは先程の椅子の上に座ると……跨がれと命じる。

「……欲しいんだろ?」
「ん……」

もう、イッちゃっても我慢出来ない。ふらふらとヴィルフリートの前で立ち止まり、肩に手を置いて彼の上にゆっくり跨がる。

「服は邪魔だが、前をたくしあげたら口に咥えればいいだろ。手は使わずにそのまま自分で挿れて見せてくれ」

そんな鬼畜というかドSなヴィルフリートに従う、主人の私。

カソックの裾を口に咥え、うまく入るように秘部をヴィルフリートのアレの上へ来るようにもぞもぞと動かす。

ぴたりと合わせて、ゆっくり腰を下ろすと……ゆっくりと埋没していく、ヴィルフリートの肉槍。

「……ひぃンっ……! 入っちゃっ……たぁっ……! あ、んっ……!」
「まだ全部入ってないだろ? ヘッタクソだな」

ま、いいか――と、私のお尻を掴んで、自分からぐっとナカヘ押し込んでくる。

「くふっ……! は――……ぁ……!」

ヴィルフリートが突き入れる度、私の胸は重たげにゆさゆさと縦に揺れる。

乳首が口に咥えたカソックと時々こすれ合うと、そこからも軽く刺激がやってきて、鼻にかかった声を上げ続けてしまう。

「ん……っ、ルカ、気持いい……か?」
「ふぁい……! 気持ちいいよぅ……!」

そう答えると、ヴィルフリートの顔が優しくなった。ん……っ、この顔、好きぃ……。

「はっ……、ふぁっ、ヴィルフリートぉ……もっと乱暴に、して……!」

蕩け切った表情で、私は悪魔に懇願する。すると、その優しい顔はすぐに獰猛な笑みに変わった。

「……どうなっても知らないぜ?」

すると――……私の後ろから、それはダメですという地の底から響くような声がして……私はハッと後ろを振り返った。


病みオーラ全開のルシさんが、私のお尻を撫でると……指をもう一つの穴に触れさせた。

「っきゃ……!? ルシさん、そこは……っ!」
「激しくされたいのでしょう? だったら、こっちを使っても構いませんよね?」
――発情しているような主人には、お仕置きが必要ですから、などと黒い笑みを見せるルシさん。
「ちょっ……、そんなとこ、使っていい場所じゃ……!」
「まぁ、こっちがイイ奴もいるからな……。いいんじゃないか、楽しみが増えて」

性に奔放なヴィルフリートは、またどこからかボトルを取り出すとルシさんに投げた。

それを受け取り、私のカソックをめくり上げると……お尻と自分の性器にドロドロした粘液を垂らす。

「な、なに、それっ……!?」
「潤滑液のようですよ。ニーナさんから『そのうち使うはずだから』とお勧めされたのです」
……ニーナ……。
「ちょっと、ニヤニヤ笑ってないでなんとかしてよ……!」
「最初から三人で風呂場に来る時、それくらい想定しておけよ。ちょっと考えれば分かるだろ」

ヴィルフリートは最初からそのつもりだったのだろうか。だとしても、この体勢だと……し辛いのでは……?

「大丈夫だ。少しお前が尻を突き出せば……ほら、丁度いい」

ヴィルフリートを咥え込んだまま、私のお尻はルシさんに丸見え。

ルシさんはローションを丁寧にお尻の穴にまで塗り込めて、それでは、と……そのご立派なものをそこにあてがう。

「っ……!」
「力を抜けよ。ルシエルが挿れにくいだろ」

挿れにくいとかそういう――……んッ……!

つぷり、と、ルシさんのモノがお尻に……っ!

「はっ……! あ、あぅ……!」

強い圧迫感があったが、痛みはない。

「やっ……私、お尻初めてなのにっ……!」
「たくさん潤滑液も塗りましたし……丁寧にすれば、痛くはないそうですよ」

そんな事誰から聞いたのよ……! しかし、ルシさんの肉棒は、ゆっくりと中に入っていってしまう。

「ん……っ、やはり膣内とは、違いますね……。締め上げられるみたいに、きついです……!」

その顔には喜びが見えるけど、私は気持ちいいのか恥ずかしいのか、よくわからない。

「だいぶ挿れましたけど……痛いですか?」
「変な感じだけど……痛くない……」

そうですかとホッとするルシさんだったが、どうやら挿れるまで待っててあげたらしいヴィルフリートは、動くぞと言って先ほどの行為を再開し始めた。

「あうっ! あんんッ、ヴィルフリートっ……! 強く、シないで……!」
「自分が激しくしろって言っただろ? 望みは叶えてやってる」

状況が違うよ……! すると、ルシさんもゆっくりと腰を動かす。

「あッ……、ルカさん……すごく、気持ちいい……!」

私も気持ちいいんだけど、素直にっ……、喜べないっていうか……!

「あふっ、ああんっ! 私ぃっ……、前も後ろも、受け入れちゃってるのにぃ……!
気持ち良すぎて、ヘンになっちゃう……!」

そうなのだ。このおかしな状況がそうさせているのか、二人が上手なのかはわからない。

ただ私は与えられる快感に身を震わせ、堪えきれない嬌声を上げつつ、二人の名を呼ぶだけだった。

もうカソックを咥えてもいられない。

「あんッ、くふうぅッ……! 声、出ちゃうよぉ……! 聞こえちゃったら、恥ずかしい……!」

だって、風呂場と居間は割と直線で行けるくらいに近いのだ。

「聞こえても、構わないと思いますよ……。クルースニクは気にしないでしょうし」
「性的興奮も魅了にも耐性があるってのは、損な性分だな……! 人生の楽しみの幾つかを失ってるぜ!」

快感に、眼の焦点が合わず虚ろになっている私を見下ろし、ヴィルフリートは満足そうに私の柔肉に吸い付いた。

「ルカ、涎が口の端から零れてるぞ? まったく、下も上も涎まみれじゃねぇか」
「んっ……ごめんなひゃい……!」

口元を拭ったが、さっきから身体を駆け巡る快感が止まないので、口は開きっぱなしになってしまっていた。

唇を閉じようとしても、快感に彩られた声が出ていってしまうので……うん、だらしない顔つきになって喘ぎまくってるわけで……。

ヴィルフリートの太いモノが、私の奥まで突いて擦り上げていて、ルシさんの体の割に立派なモノが、内部の肉壁をこねるように動く。

しかも、ヴィルフリートも……後ろを振り返ればルシさんも、私を抱きながら厭らしい眼つきで見ていて……視線が絡みつく。

「あ……っ!」

その眼が、私の身体をまた熱くさせて……更に快感を高めていく。

そんな顔で見られちゃって、こんなに気持ちよくされちゃったら……!

「んっく、くふっ……! あっ、ひっ……わた、し……、もぉ、ゆるし……!」
「待て、もうちょっとで俺も……!」
「ルカ、ルカさんっ……! 僕も達しそうです……! そのまま僕を見てください……」

ぐいと顔を固定され、ルシさんの甘い顔が間近にあった。

紫色の瞳には切なげな色があるのだが、その眼に映っているのは私……。

「ルカさん……! 僕の、大切な……っ!」

快感とは違う甘い刺激が、私の心と頭を揺さぶる。

「あぁ……っ、ルシさん……私も、ルシさんを――」

唇を触れさせようとしたとき、ヴィルフリートが私の顎を強引に掴んで自分に向けさせた。

「俺を見てろよ、ルカ。お前は永遠に俺のものなんだぜ……?」

強い束縛の力が、ぞくりと肌を粟立たせる。

「ふぁっ……も、だめ……! 二人に、イカされちゃ……う……!」

ヴィルフリートの赤い瞳は私を熱く捉えている。しかし、耳に舌を這わせて吐息とともに愛を囁くルシさんの声も、ゾクゾクくる。

「あ……あっ、はふっ……! ひんっ、イッちゃ……、あ、あああぁ――……ッ!」

身体に凄まじい快感が流れ込んで――同時に、身体の中に熱いものが放たれて……私の頭は真っ白になった。



それから後のことは、よく覚えてない。

目が覚めた時は……自分が使っている部屋(便宜上、自分の部屋となっている)だった。

……身体の重さはなくなっていたが、疲労感はまだ消えない。それは多分、セックスのせいだ。

というか、絶頂に至ってそのまま気絶したらしい。気がつけば私はベッドに裸のまま寝かされていたし、右を見ればヴィルフリートが爆睡していて、左を向けば、穏やかな寝息をたてているルシさんがいた。

……二人は服を着替えたようだが、着替えたなら私にも服を着せてくれてもいいと思うんだ……。

しかし、素肌にかかるルシさんの羽毛はなんとも気持ちよくて、ヴィルフリートの温かさ(なんか私より体温高いんだよこの人)も嬉しい感じ。

……うん、ちょっと二人が起きた時に困るシチュエーションだけど、なんか二人の寝顔は可愛いからこのまま楽しむことにしよう。

暫く経つと自分もまた二度寝してしまったけど、その寝顔を堪能した後のこと。


夕食の時に顔を合わせたクライヴさんは、風呂場と私の部屋から一番遠いところはどこだとヴィルフリートに聞いていた。

「階段を上がって左に真っ直ぐ行ったところだ。確か、倉庫代わりに使っているが……ちょっと片付ければ空く」
「わかった。食事の後、すぐにでも掃除させてもらう」
……そうして、私を見るクライヴさんの眼は……やはり、少なからず軽蔑の色が混じっている。
「声が、丸聞こえだったぞ。声色が高いから、風呂場に近いあの部屋ではよく届いて昼寝も出来なかった」

思わず、がちゃんとフォークを取り落としてしまった。

……まるぎこえ……。

しかし、ヴィルフリートもルシさんも我関せずの顔で食事を続ける。

「……人生の楽しみがなくて悪かったな。昼寝の邪魔には思ったが、気にはしていない」

今度は、従者の二人が食べ物を喉に詰まらせる番だった。そこまで丸聞こえなの!?

咽せながら飲み物で流し込み、一呼吸置いてから二人はクライヴさんを『地獄耳』と罵る。

「元々耳はいいのだから仕方がないだろう。聞こえてしまったことを素直に言っただけだ」

淡々と語って、タリアータ(牛のたたきみたいな食べ物)を口に運ぶクライヴさん。

ルシさんは顔を真っ赤にしつつ、お風呂場は今度から消音結界を張ることにします、と言って野菜ばっかりのサラダを見つめる。

またお風呂であんな激しくされるの嫌だよ……気持よかったけどさ。

そうして、妙にぎこちない雰囲気で……クライヴさんを迎えた最初の日は、ゆっくり更けていくのだった。



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